その「動きにくさ」、背骨が関係しているかも。

前回は、普段あまり意識しない身体の動きを、少しだけ大きく動かしてチェックしてみました。
首を反らす。
腕を上げる。
身体をひねる。
前にかがむ。
毎日の生活では、ここまで大きく動かすことは意外と少ないものです。
だからこそ、普段は気づかない「動きにくさ」が見つかることがあります。
そして、こうした動きは、首なら首、腕なら腕だけで行っているわけではありません。
身体の中心にある背骨も、一緒に動いています。
ちょっと試してみてください
まず、椅子に座ったまま、少し猫背になって腕を上げてみます。
そのまま、今度は背筋を伸ばして、胸を起こしてもう一度。
腕の上がり方や、動かしやすさに違いはありませんか?
上を向く動きも同じです。
首だけを反らすより、胸を起こして背中を伸ばした状態のほうが、上を向きやすく感じることがあります。
これは「背中を伸ばせば必ず動く」という単純な話ではありません。
腕を上げる、上を向く。
そんな一見シンプルな動きにも、背骨を含めたいくつもの部分が関わっている、ということです。
では、背骨はいったいどんなふうに動いているのでしょうか。
背骨は、前後左右に動いている
背骨というと、一本の棒のようなものをイメージするかもしれません。
でも実際は、首の部分の頚椎、胸の部分の胸椎、腰の部分の腰椎など、いくつもの骨が連なっています。
身体を動かすときには、それぞれの部分が少しずつ動きながら、全体として動きをつくります。
大きく分けると、背骨の動きには4つあります。
前屈――前にかがむ
後屈――後ろに反る
側屈――左右に倒す
回旋――身体をひねる
例えば、前屈するとき。
腰だけを丸めているわけではなく、胸のあたりも含めて背骨全体が曲がっていきます。
後ろに反るときも同じ。
胸椎や腰椎など、それぞれの部分が伸びる方向へ動きます。
身体を横に倒す側屈や、ひねる回旋も、背骨のいくつもの部分がそれぞれ動くことで成り立っています。
同じ「背骨」でも、動き方は同じではない
ここが背骨の面白いところです。
頚椎・胸椎・腰椎は、どれも背骨の一部ですが、動き方にはそれぞれ特徴があります。
特に「ひねる」という動きでは、その違いが分かりやすくなります。
胸のあたりにある胸椎は回旋に関わる動きが比較的大きい一方、腰椎は回旋の動きがそれほど大きくありません。
つまり、
「身体をひねる」=「腰をひねる」
ではありません。
胸のあたりも動き、腰も必要な範囲で動き、それぞれが役割を分担しています。
前屈や後屈、側屈でも同じように、背骨の各部分がそれぞれ動きながら、ひとつの動作をつくっています。
だから、首や腕の動きにも関係する
ここまで見てくると、最初の話にもつながります。
腕を上げるときには、腕だけでなく肩甲骨や胸郭、背骨などが連動します。
上を向くときも、首だけでなく胸のあたりを含めた身体の動きが関わります。
身体は、パーツごとに独立して動いているわけではありません。
ひとつの動きをするために、いくつもの場所が一緒に動いています。
だから、
「腕が上がりにくい」
「振り向きにくい」
「身体をひねりにくい」
というときも、気になる場所だけを見るのではなく、その動きに一緒に参加している身体の部分にも目を向けてみる。
そのひとつが、身体の中心にある背骨です。
では、背骨の動きを感じてみる
椅子に座って、身体を左右にゆっくりひねってみてください。
このとき、どこまで回れるかだけを見る必要はありません。
胸のあたりが自然に回っているか。
左右で動き方に違いがないか。
途中で引っかかるような感じがないか。
腰だけで無理にひねっていないか。
そんなところを感じてみます。
「右はスムーズだけど、左は途中で動きが止まる感じがする」
そんな小さな違いに気づくことも、セルフチェックのひとつです。
もちろん、身体の動きには個人差があります。
「ここまで動けば正常」という基準を探すのではなく、自分の身体がどんなふうに動いているのかを知ることが目的です。
痛みや強い違和感がある場合は、無理に動かさないでください。
背骨だけを見る、ということではありません
ここまで背骨の話をしてきましたが、だからといって「背骨だけ動かせばいい」という話ではありません。
背骨、肩甲骨、骨盤、股関節、腕や脚。
身体は、それぞれがつながりながら動いています。
その中で背骨は、身体の中心にあるからこそ、さまざまな動きに関わっています。
身体は、どこか一か所だけで動いているわけではありません。
「首が動きにくい」「腕が上がりにくい」「身体をひねりにくい」
そんなときは、その場所だけでなく、身体の中心にある背骨にも少し目を向けてみてください。
いつも何気なくしている動きの中にも、身体からの小さなサインが隠れているかもしれません。
まずは今日、ひとつだけ。
いつもより少しだけ大きく身体を動かしてみませんか?
