なぜ、首の付け根がつらい?

前回は、ストレートネックと「背中」の関係について見てきました。
頭が前に出ることと、背中が丸くなること。
この2つは、お互いに影響し合っています。
頭が前に出れば、身体全体のバランスを取るために背中の姿勢も変化します。反対に、背中が丸まれば、首から頭の位置も前に変化しやすくなります。
では、背中が丸まり、首から頭が前に倒れるような姿勢になると、首の上の方では何が起こるのでしょうか。
今回は、特に「後頭部の首の付け根がつらい」という方に関係する部分を見ていきます。
首の付け根がつらくなる理由
背中が丸くなると、首から頭も前に倒れるような姿勢になります。
でも、私たちはそのままずっと下を向いているわけではありません。
仕事をしているときも、歩いているときも、テレビを見ているときも、基本的には前を見ています。
そこで身体は、前に倒れた頭の位置から、目線を正面に戻そうとします。
このとき、首の上の方にある「上位頚椎」は、反る方向(伸展方向)に動きます。

イメージとしては、
背中が丸くなる
↓
首から頭が前に倒れるような姿勢になる
↓
目線は正面に向けたい
↓
首の上の方を反らせて、目線を正面に向ける
という流れです。
このとき、後頭部と首の境目にある「後頭下筋群」も、頭の位置を調整するために働きます。
後頭部の付け根で、何が起きている?
後頭下筋群は、後頭部のすぐ下にある小さな筋肉の集まりです。
頭と首の位置を細かく調整する役割を持っています。
背中が丸まり、首から頭が前に倒れるような姿勢から目線を正面に戻すと、首の上の方は反る方向に動きます。
そのとき、後頭下筋群もギュッと収縮して働きます。
こうした姿勢を長時間続けると、後頭下筋群が働き続けることになり、首の付け根に負担がかかりやすくなります。
「首の後ろが重い」
「後頭部の付け根が張る」
「首を動かすとスッキリしない」
こうしたつらさには、姿勢や筋肉の働きが関係していることがあります。
まずは、付け根をゆるめる
では、ここでセルフケアです。
まずは、後頭部と首の境目あたりを、指の腹や手のひらでやさしくほぐしてみましょう。
強く押し込む必要はありません。
気持ちいいと感じる程度の力で、後頭部の付け根周辺をゆっくり触れていきます。
このとき、口を軽く半開きにしてみてください。
歯を食いしばらず、あごの力を抜くことで、首まわりも余計な力が入りにくくなります。
「痛いところを強く押す」というより、張っているあたりを探しながら、気持ちいいと感じる強さでゆっくりゆるめていくイメージです。
次に、ゆっくり伸ばす
ほぐしたら、今度は首の後ろをゆっくり伸ばしてみます。
イスに座り、背中を軽く伸ばします。
後頭部に両手を重ねて置き、手の力で頭をゆっくり前へ倒していきます。
首の後ろが伸びるところで止め、無理のない範囲で数秒キープ。
そのままゆっくり戻します。
ポイントは、勢いをつけないこと。
「グイッ」と引っ張るのではなく、じわっと伸ばしていきましょう。
首の後ろの筋肉をゆっくり伸ばしながら、首を動かすきっかけをつくります。
もう一歩やるなら
もう少し刺激を加えたい場合は、少しだけやり方を変えます。
後頭部に重ねた両手で、頭を前へ倒すように軽く力を加えます。
それに対して、首は「倒れまい」とごく弱い力で抵抗します。
手はゆっくり前へ。
首はそれに逆らいながらも、頭がゆっくり前へ倒れていく。
そんなイメージです。
首の後ろの筋肉を、伸ばされながら働かせる動きになります。
ただし、強くやる必要はありません。
首は繊細な部分なので、ごく軽い力で十分です。痛みやしびれ、めまい、頭痛などの違和感が出る場合は中止してください。
「正しい姿勢」を固定しなくてもいい
ここまで3回にわたって、ストレートネックを「首だけの問題」として見ない話をしてきました。
頭の位置。
首のカーブ。
胸椎の動き。
そして、後頭部の付け根。
身体は、それぞれが別々に動いているわけではありません。
だから、「正しい姿勢をずっとキープしなければ」と考える必要もありません。
大切なのは、同じ姿勢に固まり続けないこと。
そして、丸まったり、伸びたり、前を向いたり。いろいろな姿勢を無理なく取れることです。
特に胸椎は、必要に応じて丸まることも、起こすこともできる。
そんな動ける背中があることで、首や頭も無理なく動きやすくなります。
ストレートネックを考えるときも、「首を真っすぐに戻す」だけではなく、
首も、背中も、ちゃんと動けること。
そこまで含めて考えてみると、身体の見え方が少し変わってくるかもしれません。
